Maxim社のMAX14870モータドライバICの小型ブレイクアウトボードは、4.5V~36Vの広い動作電圧で、連続1.7A(ピーク2.5A)を1台のブラシ付きDCモータに供給できます。シンプルな2ピン制御の速度/方向インターフェースで、逆電圧、低電圧、過電流、過熱保護機能を内蔵しています。
Maxim Integrated社のMAX14870は、4.5V~36Vのブラシ付きDCモータ1台を両方向制御できる小型HブリッジモータドライバICです。連続1.7Aまで供給でき、数秒間は2.5Aまでのピーク電流に耐えられ、広範囲の電圧で動作する小型モータに適しています。 MAX14870は優秀なICですが、小型でリード端子の無いパッケージは一般的な学生やメーカーには使いにくいため、MAX14870用のブレイクアウトボードにより標準的なブレッドボードやユニバーサル基板でも使いやすいよう設計しました。MAX14870データシート(英語 版PDF・日本語版PDF)を十分に読むことをおすすめします。基板には、MAX14870を含む表面実装部品が実装済で、ブレイクアウトボードには電池の逆接続保護用のFETが追加されています。
また、この素晴らしいモータドライバを、Arduinoで簡単に使えるデュアルMAX14870モータドライバ Arduinoシールド や、Raspberry Pi対応デュアルMAX14870モータドライバ のパーツキット版
と組立済み版
もあります。
低電圧で動作する同様のモータドライバは、BD65496MUVドライバボード や、DRV8838ドライバボード
があります。
MAX14870モータドライバブレイクアウトボードには、1×5ピン 分割ピンヘッダが2つ付属しています。モータドライバにハンダ付けして、ブレッドボードや、ユニバーサル基板、0.1インチコネクタを取付けて使用できます(ピンヘッダは1×10ピンで発送されることがあり、そのときは半分に折ってお使いください)。右上の画像は、ピンヘッダを取付けた時に考えられる2つのボードの向きを示しています(部品が見えるか、またはシルクスクリーンが見えるか)。他に、モータのリード線やその他の接続をボードに直接はんだ付けして使うこともできます。
モータとモータ電源の接続はボードの片側で、ロジック電源と制御の接続は逆側になっています。モータドライバには、逆接続保護された電源入力VINへ4.5V~36Vの動作電圧の供給が必要です。VMピンからは、逆接続保護されたモータ電圧を簡単に取り出せます。
MAX14870は、シンプルな2ピンDIR/PWM制御インターフェースを備えています。このインターフェースでは、DIRピンでモータ回転方向を決め、PWMピンにPWM信号を入力してモータ速度を制御できます。PWM制御入力は、内部で100kΩのプルダウン抵抗でプルダウンされています。PWMピンがLowになると、モータ出力の両端がGNDへ短絡され、接続したモータにダイナミックブレーキをかけます。
ドライバの動作モードの真理値表は次の通りです。
/EN | PWM | DIR | M1 | M2 | 動作モード |
---|---|---|---|---|---|
1 | X | X | ハイインピーダンス | ハイインピーダンス | フリーラン(出力の切断・解放) |
0 | 1 | 0 | GND | VIN | 逆転 |
0 | 1 | 1 | VIN | GND | 正転 |
0 | 0 | X | GND | GND | Lowブレーキ (GNDへ短絡出力) |
このブレイクアウトボードの基板は、MAX14870とピン互換があるMaximのMAX14872モータドライバICにも使用できます。MAX14872は、MAX14870と同等の機能と性能を備えていますが、異なる制御インタフェースを備えています。2つの部品は同じデータシート(英語版 PDF)・(日本語版PDF)を共有しており、2つを簡単に直接比較できます。 MAX14872のブレイクアウトボードを探している場合は、この基板のMAX14870をMAX14872に交換できます(適切な表面実装リワークツールが必要)。または、大口注文向けにカスタムで製造もできます。大口向けのカスタム製造に興味がある場合は、当社にお問い合わせください。
ピン | 標準設定 | 説明 |
---|---|---|
VIN | 逆電圧保護されたモータ電源入力。4.5V~36V | |
GND | モータと制御ピンのGND接続端子。制御元とモータドライバは必ずGNDを共有しなければいけません。 | |
VM | 逆電圧保護MOSFET後のモータ電源へ直接接続できます。(「回路図」をご覧ください。)システム内の他の部品へ逆電圧保護電源を供給するために使用できます。MAX14870データシート中のVDDへ接続されています。 | |
M1 | Hブリッジ出力1 | |
M2 | Hブリッジ出力2 | |
PWM | Low | 速度制御入力。ロジック入力High時にモータを駆動 |
/FAULT | フローティング | オープンドレイン、アクティブLow障害出力。 過電流、過熱状態で、Lowに設定されます。使用する場合は、標準でHighにするために、外部プルアップ抵抗が必要です。 |
/EN | Low | アクティブLow入力。ドライバ出力を3ステートにするにはHighにしてください。 |
MAX14870 ICは、オプションの自動電流制限に使用できるSNS入力を備えています。 標準では、この入力をブレイクアウトボードのGNDに接続され、電流制御機能を無効しています。電流制限を有効にするためには、まずブレイクアウトボードの表面にある1206サイズの抵抗のパッド間の配線を切断しなければなりません。
次に、表面実装の1206サイズの抵抗を追加します。ひとつの例を示します。
モータドライバは、SNSピンの電圧を100mVを超えないように調整します。たとえば、100mΩの抵抗で電流を1Aに制限し、200mΩの抵抗で電流を0.5Aに制限します。電流制限の詳細については、MAX14870データシート(英語版PDF・日本語版PDF)をご確認ください。
MAX14870のデータシートでは、最大連続電流は2.5Aを推奨しています。しかし、ICチップは通常もっと低い電流で過熱状態になります。試験では、2.5Aを供給すると、数秒でICチップの熱保護によりモータ出力を停止しました。連続電流が1.7Aでは、熱保護により停止することなく何分間も持続できました。
実際に供給できる電流は、モータドライバをどれだけ低温にできるかで変わります。 ブレイクアウトボードのプリント基板は、モータドライバICチップから放熱するように設計しています。動作試験では、強制冷却のないデューティ比100%で実施していますが、モータへのPWM動作は、周波数に比例してさらに発熱することを考慮してください。
通常動作中に、やけどするほどに熱くなることがあります。本製品や接続している他の部品を取り扱うときは注意してください。
PDF版回路図もダウンロードできます。