MOSFETで構成されたHブリッジモータドライバにより、1台の高出力ブラシ付きDCモータを両回転制御できる33x20mmの小型ボードで、6.5V~40Vと広い動作電圧に対応し、ヒートシンク無しで連続21Aを効率よく供給できます。第2世代(G2)ドライバは、基本的な電流検出及び電流制限機能と、逆電圧保護機能が追加されています。
Pololu G2ハイパワーモータドライバは、大型のブラシ付きDCモータを駆動するために設計された、MOSFETで構成されたHブリッジ回路です。NチャンネルMOSFETで構成されたHブリッジ回路の他に、ユーザ入力を受け取りMOSFETを制御する回路が含まれています。このモータドライバの絶対最大電圧は40Vで、これより高い電圧ではモータドライバが恒久的に破損する可能性があります。通常の動作条件下では、電源ラインのリップル電圧により、最大電圧が平均や意図した電圧より高くなる場合があるため、安全な最大電圧は約34Vです。
注意:充電済みのバッテリ電圧は、公称電圧よりかなり高くなる可能性があり、ピーク電圧を制限する適切な対策をしない限り、推奨最大公称バッテリ電圧は28Vです。
広い範囲の電流と電圧に対応した多用途なドライバで、最大連続21Aの電流を供給でき、基板サイズがわずか33x20mmで、ヒートシンクも不要です。最低限必要なI/Oラインはわずか2本とシンプルなインタフェースで、sign-magnitude(SM方式)とlocked-antiphase(LAP方式)動作を選択できるモジュールです。電流検出出力により、モータ電流の表示や、しきい値設定でドライバーによるモータ電流制御ができます。電源入力には逆電圧保護が付いています。さまざまな障害状態をまとめて検出でき、ひどい故障となる一般的な原因から保護するのに役立ちます。ただし、この基板には過熱保護は含まれていません。
G2ハイパワーモータドライバ 24v21は、オリジナルのハイパワーモータドライバ 24v20(Pololu-759)の後継機です。G2ドライバは、オリジナルドライバに比べはるかに小型ですが、インタフェースと出力には互換があり、一般的なアプリケーションではほぼそのまま置き換えられる代替品となります。詳細については、下記の「オリジナルハイパワーモータドライバとの違い」をご覧ください。
このバージョンと18v25を見分ける方法は、背の高い銀色の電解コンデンサの上にある番号100で区別できます。
ピン配置互換の1出力 G2ハイパワーモータドライバが4種類と、2出力のデュアルG2ハイパワーモータドライバが8種類あります。2出力のドライバのうち4種類は、Arduinoシールドのフォームファクタです。他のコントローラ(マイコンボード)の汎用モータドライバとしても使用できます。他の4種類は、Raspberry Pi HATと互換のあるRaspberry Piボードのフォームファクタです。G2ドライバの比較表は次の通りです。
モータチャンネル数 | 名称 | 絶対最大入力電圧 | 最大バッテリ公称電圧 | 1Chあたりの最大連続電流 | 標準動的電流制限しきい値 |
---|---|---|---|---|---|
1 | G2ハイパワーモータドライバ 18v25 ![]() | 30 V | 18 V | 25 A | 60 A |
G2ハイパワーモータドライバ 18v17 ![]() | 17 A | 40 A | |||
G2ハイパワーモータドライバ 24v21 ![]() | 40 V | 28 V | 21 A | 50 A | |
G2ハイパワーモータドライバ 24v13 ![]() | 13 A | 30 A | |||
2 | デュアルG2ハイパワーモータドライバ 18v22 Arduinoシールド ![]() | 30 V | 18 V | 22 A | 60 A |
デュアルG2ハイパワーモータドライバ 18v18 Arduinoシールド ![]() | 18 A | 50 A | |||
デュアルG2ハイパワーモータドライバ 24v18 Arduinoシールド ![]() | 40 V | 28 V | 18 A | 50 A | |
デュアルG2ハイパワーモータドライバ 24v14 Arduinoシールド ![]() | 14 A | 40 A | |||
Raspberry Pi対応デュアルG2ハイパワーモータドライバ 18v22 ![]() | 30 V | 18 V | 22 A | 60 A | |
Raspberry Pi対応デュアルG2ハイパワーモータドライバ 18v18 ![]() | 18 A | 50 A | |||
Raspberry Pi対応デュアルG2ハイパワーモータドライバ 24v18 ![]() | 40 V | 28 V | 18 A | 50 A | |
Raspberry Pi対応デュアルG2ハイパワーモータドライバ 24v14 ![]() | 14 A | 40 A |
メモ: モータドライバの代わりに、シンプルモータコントローラが、同等の電気特性があり、高水準のインタフェース(USB、R/Cサーボパルス、アナログ電圧、TTLシリアルコマンド)を提供しています。用途によっては使いやすいくなります。
モータとモータ電源接続が基板の片側にあり、制御の接続(ロジック1.8~5V)が逆側にあります。モータ電源は、大電流を供給できる必要があり、接続(VIN, OUTA, OUTB, GND)する方法は2つあります。同梱している端子台に対応した5mmピッチの大きな穴を使う方法と、プリント基板やブレッドボード、0.1インチコネクタに対応した0.1インチ穴2個を使う方法です。
性能を良くするために、モータ電源とモータドライバのGNDの間に大きなコンデンサを取付けることがとても重要です。最低数百μFで供給最大電圧より十分に高い耐電圧のコンデンサを取付けることを推奨しています。電源が弱い場合や、ドライバから離れてる(0.3m以上)場合は、さらに大きな静電容量が必要になります。また、モータ特性や動作PWM周波数など他の要因により異なってきます。スルーホール対応のコンデンサは、基板上の「+」と「-」ラベルの穴(それぞれVMとGNDに接続)に直接取付けられます。ドライバには、3つの150μFのコンデンサが内蔵されています。これは、簡単なテストや、限られた低い出力の動作には十分かもしれませんが、多くのアプリケーションではもっと大きなコンデンサを追加することを強くおすすめします。
警告: 大電力を使用する時は、適切な安全対策をとってください。高電圧や大電流を使用しているときに自分が何をしているのかを必ず知ってください。通常動作中でも、この製品はやけどするほど熱くなることがあります。この製品や接続された他の部品の取扱に注意してください。
ロジック接続は、1.8V~5V(最大5.5V) システム と接続するよう設計されています。基本的な構成では、PWMとDIRのみ必要になります。
ピン | 標準状態 | 説明 |
---|---|---|
VIN | 6.5V~40V(絶対最大)モータ主電源接続 | |
VM | 逆電圧保護後のモータ電源接続ピン。逆電圧保護後の電源を他の部品へ供給するのに使用できますが、大電流は使用しないでください。このピンは出力のみに使用できます。 | |
+, – | このパッドは、電源用コンデンサ接続用です。(VMとGNDにそれぞれ接続されています。) | |
3V3(out) | 数mA供給できる3.3V出力です。基準電圧や小さな外部回路用に使用できます。この出力に、外部電源ラインを接続しないでください。ドライバがスリープモードの時は出力されません。このピンを横のVMピンと誤ってショートさせないでください、基板が一瞬で壊れます。 | |
GND | ロジックとモータ電源のGNDと接続 | |
OUTA | モータ出力ピンA (モータ端子の片側と接続) | |
OUTB | モータ出力ピンB (モータ端子の逆側と接続) | |
PWM | LOW | PWM(パルス幅変調)入力。このピンのPWM信号は、モータ出力のPWM出力と一致します。 |
DIR | LOW | 方向入力。DIRがHighならば、OUTAからOUTBへ電流が流れます。DIRがLowならば、OUTBからOUTAへ電流が流れます。 |
/SLP | HIGH | スリープ入力(負論理)。このピンは、ドライバボード内でHighに接続されており、標準でドライバが動作するようになっています。SLPをLowにすると、ドライバが低電力スリープモードになります。 |
/FLT | 障害検出。オープンドレイン出力で、障害が発生するとLowになります。詳細は下記をご覧ください。このピンを使用するには、使用するシステムのロジック電圧まで外部でプルアップする必要があります。 | |
CS | 電流検出出力。このピンは、Hブリッジが動作しているときに、モータ電流に比例した電圧が出力されます。(ブレーキ時や電流制限時は動作しません。)出力電圧は、約10mV/Aで、50mVのオフセットがあります。 | |
VREF | 基準電圧入力。このピンとGND間に抵抗を追加し、電流制限(チョッピング)のしきい値を下げることができます。抵抗を追加しない場合の電流制限は、標準で約60Aになります。詳細は下記をご覧ください。 |
PWMピンをLowにすると、両方のモータ出力がLowになります(ブレーキ動作)。PWMがHighの時、モータ出力はDIR入力に従って駆動します。これにより2つの動作モードで動かすことができます。sign-magnitude(SM方式)では、PWMのデューティ比でモータの速度を、DIRで回転方向を制御します。locked-antiphase(LAP方式)では、PWM信号をDIRピンへ接続し、PWMピンはHighにします。
locked-antiphase(LAP方式)動作では、デューティ比が低いと一方向へモータが回転し、デューティ比が高いと逆方向へ回転し、デューティ比が50%でモータが停止します。locked-antiphase(LAP方式)が正常に動作するかは、モータのインダクタンスと出力電流を平滑化するスイッチング周波数に依存します(デューティ比50%時に電流が0になること)。そのため、高いPWM周波数が必要になります。
PWM | DIR | OUTA | OUTB | 動作 |
---|---|---|---|---|
H | H | H | L | 正転 |
H | L | L | H | 逆転 |
L | X | L | L | ブレーキ |
モータドライバは、100kHzまでのPWM周波数をサポートしますが、スイッチング損失はPWM周波数に比例することに注意してください。通常、20kHz付近が、sign-magnitude(SM方)動作にちょうど良く、超音波領域で十分に高く、静かな動作になります。
PWMピンのパルスは、対応する出力がオンになるために、最低約0.5μs間はHighでなければいけません。(これより短い入力パルスでは、出力が変化しません。)そのため、高い周波数での低いデューティ比は不可能です。例えば、100kHzの時、パルスの1周期が10μsで、ゼロ以外の最小デューティ比は、0.5/10で5%です。
ドライバの電流検出ピンCSは、Hブリッジが動作している間、モータの電流に比例した電圧を出力します。出力電圧は、約20mV/Aに小さなオフセットを足した出力で、通常は約50mVです。
CS出力は、Hブリッジが動作モードの間だけ出力します。ドライバーがブレーキモード(低速減衰)時は動作せずLowです。これは、PWM入力がLowや電流制限が動作しているときも同様にLowです。ドライバがブレーキの時は、電流がモータを循環しつづけますが、CSピンの電圧はブレーキモードのモータ電流を正しく反映しません。CS電圧は、モータドライバ内で使用しているため、ドライバの動作を妨げないように、このピンにコンデンサを追加したり、数mA以上流れる負荷を接続しないでください。
G2ドライバには、電流チョッピングによりモータ電流を制限する機能があります。モータ供給電流が設定したしきい値になると、ドライバは約25μs間ブレーキモード(低速減衰)になり、その後モータを再び駆動します。これにより、動作中は数Aしか使わないが、始動時に数倍(数10A)必要となるモータを、ドライバで使用できるようになります。
電流制限しきい値は、標準で約50Aに設定されています。VREFピンと横のGNDピンの間に、抵抗を追加することで制限値を下げることができます。下のグラフは、電流制限値とVREF抵抗値の関係を示しています。例えば、VREFとGND間に100kΩの抵抗を追加すると、電流制限が約29Aに低下します。(基板標準の50Aに設定されているときに、一部では約40Aに制限されることがあります。)特に低い設定(曲線の破線部分)では、精度が低下します。
モータドライバは、いくつかの障害状態を検出し、/FLTピンをLowにして通知します。オープンドレイン出力のため、他のシステムのロジック電圧へプルアップする必要があります。検出可能な障害に、出力の短絡(ショート)、低電圧、過熱があります。すべての障害状態ではモータ出力を停止しますが、ラッチはされません。これは、障害状態が解消されると(短絡(ショート)障害の場合は数ミリ秒の遅延の後)、ドライバは動作を再開しようとします。過熱障害は、基板がとても熱くなっていることを少し示していますが、一番最初に過熱する部品であるMOSFETの温度を直接表していません。そのため、過熱状態での損傷を防ぐためには、この障害検出に頼らないでください。
MOSFETは、短時間で大きな電流スパイク(例えば数ミリ秒で100A)を扱うことができ、ドライバの電流チョッピングは設定電流以下に平均電流を保ちます。ピーク定格出力は、急な過渡現象(例えばモータを最初にオンした時)に対するもので、連続定格出力の21Aは周囲の環境温度などさまざまな状況に依存します。モータをPWM制御すると、周波数に比例して過熱していきます。実際の電流は、ドライバを冷たく保つことができるかに依存します。ドライバのプリント基板は、MOSFETから熱を逃がすように設計されていますが、ヒートシンクを使うことで性能を向上させることができます。
警告:このモータドライバは、過熱遮断はありません。過熱や過電流状態により、モータドライバは恒久的な損傷を受ける可能性があります。ドライバの内臓電流検出出力や外部の電流センサを使い電流を監視するのも検討した方が良いです。
モータドライバには、2本の8ピン分割ピンヘッダと、2個の2ピン5mm端子台が同梱されています。モータとモータ電源を接続するため、4つの大きなスルーホールへ端子台をはんだ付するか、大きな穴の横にある小さいスルーホールへ1×8の 0.1インチピンヘッダを取付けることができます。しかし、端子台の定格は16Aまでで、ピンヘッダは2つ合わせて6Aまでのため、高出力のアプリケーションでは、太い線を直接はんだ付する必要があります。
もう1つの1×8 ピンヘッダは、基板のロジック接続側の小さい穴へはんだ付することで、ブレッドボードやプリント基板、0.1インチコネクタで使用できます。直接配線をはんだ付することでコンパクトに使用することもできます。
注意:ほとんどのアプリケーションでは、上の「接続」で説明されているように、電源に大きなコンデンサ(商品に同梱されていません)を接続する必要があります。
この基板は、#2またはM2ネジ(付属していません)用の直径2.18mmの取り付け穴が2つあります。水平・垂直方向に15.75mm(0.62インチ)離れています。
G2ハイパワーモータドライバは、オリジナルのハイパワーモータドライバのほぼ置き換えできる代替品として動作するよう設計されています。この24v21バージョンは、オリジナルの24v20に匹敵し、多くの状況でほぼ同じ電流を供給できます。基板の幅と必要なピン配置はどちらのバージョンも同じですが、G2 24v21のサイズは小さく、オリジナルの24v12や低出力のG2ドライバ(18v17や24v13)の基板寸法と同じです。
この第2世代ドライバは、電源入力の逆電圧保護や、基本的な電流検出と電流制限機能など新機能が追加されています。低いロジック電圧でも動作し、3.3Vシステムと互換があります。ただし、オリジナルハイパワーモータドライバよりもわずかに最小モータ電源電圧が高いです(6.5Vと5.5Vの違い)。
G2ドライバのピン配置は、オリジナルといくつか異なります。
G2ハイパワーモータドライバ 18v17 と 24v13 とは異なり、24v21ドライバには、標準で/SLPピンをHighにしドライバを動作させる回路が組み込まれています。これにより、オリジナルハイパワーモータドライバの対応する/RESETピンが未使用の場合は、同様に未接続のままにしておくことができます。