Raspberry Piの拡張ボードで2つの高出力のDCモータを簡単に制御できます。MOSFETで構成された2セットのHブリッジ回路により、6.5V~36Vと広い動作電圧と、ヒートシンクなしで連続18Aを効率よく供給できます。ドライバは、基本的な電流制限機能を搭載し、より静かに動作できる超音波領域のPWM周波数を使用できます。標準のピン配置で簡単に使い始められ、より特殊なアプリケーションではカスタマイズすることもできます。このバージョンはパーツキット版のみとなります。すべての表面実装部品は実装されていますが、付属するスルーホールコネクタはハンダ付けされていません。
これらのG2デュアルハイパワーモータドライバは、Raspberry Pi対応の拡張ボードで、2つの大型のブラシ付きDCモータを駆動するために設計され、2セットのMOSFETで構成されたHブリッジ回路が搭載されています。Raspberry Piボード(Model B+以降)と互換があり、差し込んで取付けられるように設計されています。Pi 3 Model BやModel A+にも対応しています。4つのバージョンがあり、プロジェクトに適した動作電圧範囲と出力電流の製品を選択できます。
![]() Pololu Raspberry Pi対応デュアルG2ハイパワーモータドライバ 18v22 ![]() | ![]() Pololu Raspberry Pi対応デュアルG2ハイパワーモータドライバ 18v18 ![]() | ![]() Pololu Raspberry Pi対応デュアルG2ハイパワーモータドライバ 24v18 ![]() | ![]() Pololu Raspberry Pi対応デュアルG2ハイパワーモータドライバ 24v14 ![]() | |
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絶対最大入力電圧 | 30 V | 36 V* | ||
最大公称バッテリ電圧 | 18 V | 28 V | ||
1ch最大連続電流 | 22 A | 18 A | 18 A | 14 A |
標準動的電流制限しきい値 | 60 A | 50 A | 40 A | |
コネクタ実装済版 | なし | ![]() | なし | ![]() |
* 定電圧レギュレータ切断時40V
4つのバージョンすべての最小動作電圧は6.5Vで、最大動作電圧は上記の表の通りです。また、ボードには5V 2.5Aの降圧型スイッチングレギュレータが実装されています。この降圧型スイッチングレギュレータは、ピンを差し込んだRaspberry Piへ電源を供給できるため、ひとつの電源で全体を動作させることができます。
モータドライバの標準では、Raspberry PiのハードウェアPWM出力を使用した、モータドライバを制御するために6つのGPIOピンを使用します。ドライバからステータス出力を読み取るために2つの追加のピンを使用します。しかし、標準では不便な場合に、ピン配置をカスタマイズでき、電流検出や電流制限のピンは、より高度なアプリケーションを構築するために、基板上で接続できます。
ボードはRaspberry Pi HAT(Hardware Attached on Top)の機械仕様に適合していますが、ID EEPROMがないため完全なHAT仕様には適合していません。 (独自のEEPROMを追加するためのフットプリントがあり使用できます。プルアップされたSDA、SCL、WPが用意されています。) この拡張ボードをオリジナルの(初期の)Raspberry Pi Model AやModel Bと一緒に使用するのは、ピン配置や形状の違いにより実用的ではありません。
これらのデュアルモータドライバは、Arduinoシールド版も販売しています。よりコンパクトな1チャンネル版は、ハイパワーモータドライバはいかがでしょうか。Raspberry Pi用に設計された小型、低出力、低コストな代替品は、Raspberry Pi対応 デュアルMC33926 モータードライバ、Raspberry Pi対応デュアルMAX14870モータドライバ、DRV8835デュアルモータドライバ Raspberry Pi 用キットもあります。
この製品は、24v18モータドライバのパーツキットです。コネクタは付属しますが、ハンダ付けはされていません。他のバージョンとの区別は、黒のプリント基板、ボードのコーナーにある6つの銀色の電解コンデンサの上部にある100の数字でできます。
ボードには、次のスルーホール・コネクタと取付け用部品が付属しています。表面実装部品は実装済みです。
0.1インチ 2×20ピン ピンソケット(メス)は、基板裏面(表面実装部品と反対側)に取り付けてください。ハンダ付けすると、Raspberry Piの40ピンGPIOヘッダに取り付けられます。あるいは、モータドライバボードを差し込んでいる状態で、さらにRaspberry Piの40ピンGPIOにアクセスしたい場合は、代わりに積層メスヘッダ 2×20ピン
(付属していません)を取付けることもできます。
6つの大きなスルーホールに端子台をハンダ付けして、モータとモータ電源を接続するか、大きいスルーホールの横にある小さいスルーホールに0.1インチのピンヘッダ(付属していません)をハンダ付けできます。ただし、端子台の定格は16Aで、各ピンヘッダ2本の定格は6Aですので、高出力用途では太いワイヤを基板に直接ハンダ付けする必要があります。
ジャンパーピンやピンヘッダ
(付属していません)を使用して、制御ピンの再配置など、より高度なオプションの変更ができます。
モータドライバは、6つの100μFまたは150μFの電解コンデンサが実装されていて、さらにコンデンサを追加する場所があります(例えば、長い電力線を補償するためや、電源の安定性を高めるため)。通常、追加のコンデンサは不要で、このモータドライバには追加のコンデンサは付属しません。
Raspberry Piは、付属していません。
モータドライバのVIN端子とGND端子に、適切にモータ電源を接続してください。基板には逆電圧保護回路があり、モータ電源が逆に接続された時の破損防止に役立ちます。逆電圧保護された入力電圧は、ボードの左側のVMとラベルがある2本のピンから、他の回路で使用するために接続できます。
標準では、モータ電源は、接続されたRaspberry Piに電力を供給する5V 2.5Aの降圧型スイッチングレギュレータにも供給します。理想的なダイオード回路が組み込まれており、モータドライバを接続し電源が供給されている状態で、Raspberry PiにUSB Micro-Bから別の電源が接続されても安全です。
Raspberry Piに独立した電源を供給したい場合は、右に示す、ボード上の配線を2本切ることで、レギュレータを切り離すことができます。1本は「VM」と「REG IN」とラベルのある表面実装パッドの間、もう1本は「REG OUT」ラベルの2本のピン間です。24v14および24v18のバージョンでは、レギュレータを切断すると、ボードの絶対最大動作電圧が40Vに上昇します。
Raspberry PiのGPIOピンが、モータドライバのどのインターフェースと接続されているかを示しています。
RPi GPIO ピン | モータドライバピン | 説明 |
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5 | Motor 1 FLT | 障害検出:ドライバチャンネルが正常に動作している場合は、このピンをRaspberry PiでHighへプルアップする必要があります。ドライバに障害が発生すると、/FLTがLowへ駆動されます。詳細は下記参照。 |
6 | Motor 2 FLT | |
12 | Motor 1 PWM | モータ速度入力:このピンのPWM(パルス幅変調)信号は、対応したチャンネルのモータ出力のPWM出力に対応しています。このピンがLowになるとモータブレーキがLowになり、HighになるとモーターがONになります。最大許容PWM周波数は100kHzです。 |
13 | Motor 2 PWM | |
22 | Motor 1 SLP | スリープ入力(負論理):標準では、モータドライバ出力を低電流スリープモードにし、モータ出力を無効にします(ハイインピーダンスに設定)。 モータ出力を有効にするためには、/SLPをHighにする必要があります。 |
23 | Motor 2 SLP | |
24 | Motor 1 DIR | モータ回転方向入力:DIRがLowの時にモータ電流は出力Aから出力Bに流れ、DIRがHighの時に電流はBからAに流れます。 |
25 | Motor 2 DIR |
PWMピンをLowにすると、両方のモータ出力がLowになります(ブレーキ動作)。PWMがHighの時、モータ出力はDIR入力に従って駆動します。これにより2つの動作モードで動かすことができます。sign-magnitude(SM方式)では、PWMのデューティ比でモータの速度を、DIRで回転方向を制御します。locked-antiphase(LAP方式)では、PWM信号をDIRピンへ接続し、PWMピンはHighにします。
locked-antiphase(LAP方式)動作では、デューティ比が低いと一方向へモータが回転し、デューティ比が高いと逆方向へ回転し、デューティ比が50%でモータが停止します。locked-antiphase(LAP方式)が正常に動作するかは、モータのインダクタンスと出力電流を平滑化するスイッチング周波数に依存します(デューティ比50%時に電流が0になること)。そのため、高いPWM周波数が必要になります。
入力 /SLP | 入力 DIR | 入力 PWM | 出力 MxA | 出力 MxB | 動作 |
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1 | 0 | PWM | PWM (H/L) | L | 速度 PWM % 時の正転/ブレーキ |
1 | 1 | PWM | L | PWM (H/L) | 速度 PWM % 時の逆転/ブレーキ |
1 | X | 0 | L | L | Lowブレーキ (GNDへ短絡出力) |
0 | X | X | Z | Z | フリーラン ・惰性で回転(出力を解放) |
モータドライバは、100kHzまでのPWM周波数をサポートしますが、スイッチング損失はPWM周波数に比例することに注意してください。通常、20kHz付近が、sign-magnitude(SM方)動作にちょうど良く、超音波領域で十分に高く、静かな動作になります。
PWMピンのパルスは、対応する出力がオンになるために、最低約0.5μs間はHighでなければいけません。(これより短い入力パルスでは、出力が変化しません。)そのため、高い周波数での低いデューティ比は不可能です。例えば、100kHzの時、パルスの1周期が10μsで、ゼロ以外の最小デューティ比は、0.5/10で5%です。
モータドライバは、いくつかの障害状態を検出し、/FLTピンをLowにして通知します。オープンドレイン出力のため、システムのロジック電圧へプルアップする必要があります。検出可能な障害に、出力の短絡(ショート)、低電圧、過熱があります。すべての障害状態ではモータ出力を停止しますが、ラッチはされません。これは、障害状態が解消されると(短絡(ショート)障害の場合は数ミリ秒の遅延の後)、ドライバは動作を再開しようとします。過熱障害は、基板がとても熱くなっていることを少し示していますが、一番最初に過熱する部品であるMOSFETの温度を直接表していません。そのため、過熱状態での損傷を防ぐためには、この障害検出に頼らないでください。
Raspberry PiのGPIOピンはすべて、40ピンのGPIOコネクタのすぐ下にある、番号付き1列のスルーホールに取り出されています。ボードで使用する各GPIOピンは、対応するモータドライバのピンとペアになるよう配置され、上向きの配線で接続されています。モータドライバピンの1つを再配置したい時は、カッターで配線を切断し、下の穴から新しいGPIOピンに配線することができます。
標準のピン配置は、Raspberry Piの標準のGPIOのプルアップとプルダウンと、モータドライバのピンの方向やプルする方向が一致するように選択されていることに注意してください(/SFはプルアップ、その他はプルダウン)。これに注意せずにモータドライバのピンを再配置すると、ピンが間違った方向にプルされる問題が発生する可能性があります。標準のGPIO状態については、Raspberry Piドキュメント(英語)をを参照してください。
モータドライバには、Raspberry Piに接続されていない電流検出ピンおよび電流制限ピンを提供しています。より高度なアプリケーションで使用したい場合に、それらのスルーホールから接続できます。
ドライバには、電流チョッピングによりモータ電流を制限する機能があります。モータ供給電流が設定したしきい値になると、ドライバは約25μs間ブレーキモード(低速減衰)になり、その後モータを再び駆動します。これにより、動作中は数Aしか使わないが、始動時に数倍(数10A)必要となるモータを、ドライバで使用できるようになります。
このボード(24v18)では、電流制限しきい値を標準で約50Aに設定されています。各モータチャンネルごとに、VREFピンと横のGNDピンの間に、抵抗を追加することで制限値を下げることができます。下のグラフは、電流制限値とVREF抵抗値の関係を示しています。例えば、VREFとGND間に100kΩの抵抗を追加すると、電流制限が約29Aに低下しますが、電流制限のしきい値は高精度ではなく、特に低い設定(曲線の破線部分)では精度が低下することに注意してください。
ドライバの電流検出ピンCSは、Hブリッジが動作している間、モータの電流に比例した電圧を出力します。出力電圧は、約20mV/Aに小さなオフセットを足した出力で、通常は約50mVです。
CS出力は、Hブリッジが動作モードの間だけ出力します。ドライバーがブレーキモード(低速減衰)時は動作せずLowです。これは、PWM入力がLowや電流制限が動作しているときも同様にLowです。ドライバがブレーキの時は、電流がモータを循環しつづけますが、CSピンの電圧はブレーキモードのモータ電流を正しく反映しません。CS電圧は、モータドライバ内で使用しているため、ドライバの動作を妨げないように、このピンにコンデンサを追加したり、数mA以上流れる負荷を接続しないでください。
MOSFETは、短時間で大きな電流スパイク(例えば数ミリ秒で100A)を扱うことができ、ドライバの電流チョッピングは設定電流以下に平均電流を保ちます。ピーク定格出力は、急な過渡現象(例えばモータを最初にオンした時)に対するもので、周囲の環境温度などさまざまな状況に依存します。モータをPWM制御すると、周波数に比例して過熱していきます。実際の電流は、ドライバを冷たく保つことができるかに依存します。ドライバのプリント基板は、MOSFETから熱を逃がすように設計されていますが、ヒートシンクを使うことで性能を向上させることができます。大電流の場合は、定格電流が最大16Aである端子台の代わりに、モータおよび電源線を直接ハンダ付けする必要があります。
警告:このモータドライバは、過熱遮断はありません。過熱や過電流状態により、モータドライバは恒久的な損傷を受ける可能性があります。ドライバの内臓電流検出出力や外部の電流センサを使い電流を監視するのも検討してみてください。
通常動作中に、やけどするほどに熱くなることがあります。本製品や接続している他の部品を取り扱うときは注意してください。